クルーズの総額はいくら? 表示価格に「あとから乗ってくる」お金の話

クルーズの料金を調べていると、「4泊5日で5万円」といった数字が目に入ります。でも、それはあなたが実際に払う金額ではありません。

実例をひとつ。表示は1人5万円。最終的にかかったのは約8.4万円でした。約1.7倍です。差額の3.4万円は、だましているわけでも、隠しているわけでもありません。クルーズという商品が、そういう作りになっているだけです。この記事では、その「あとから乗ってくるお金」の中身を、実際の明細で分解します。

クルーズの料金は、4階建てになっています

何のお金か販売サイトで変わる?
① クルーズ運賃検索して表示される数字。部屋代+食事+ショー変わる
② 諸税(政府関連諸税・港湾使用料)国や寄港する港に払う税・使用料。寄港料・雑費(NCCFなど)は①のクルーズ運賃の側に入ります額は同じ/料金に含めて表示するかは販売サイトで違う
③ 船内チップ(サービス料)乗務員へのサービス料。額は船会社が決める額は同じ/料金に含めて売るかは販売サイトで違う
④ 国際観光旅客税日本から出国するときに1人あたり払う税(現在1人3,000円・2026年7月1日から)額は同じ/料金に含めて表示するかは販売サイトで違う

ここがいちばん大事なところです。②③④の額を決めているのは、販売サイトではなく、国・港・船会社です。ただし、その額を料金に含めて売るかどうかは、販売サイトによって違います。諸税を運賃に含めて表示するサイトと別に表示するサイトがあり、船内チップを旅行代金に含めて売るサイトもあります。

逆に言うと、①のクルーズ運賃は、売る会社によって金額が違います。比べる意味があるのは①です。ただし、表示された金額どうしをそのまま比べると、②③を含む金額と含まない金額を比べてしまうことがあります。同じ土俵で比べるには、何が含まれているかをそろえる必要があります。CruiseMikke(クルーズみっけ!)では、販売サイトごとの料金に「諸税込」「諸税別」「諸税の扱い不明」を添えて表示しています。船内チップが含まれているかも販売サイトにより異なるので、最終的には販売サイトの内訳でご確認ください。

実例:那覇発着 4泊5日・内側客室(2025年1月)

クルーズみっけ!を運営している私(YKK)が実際に乗った航路の明細です。

項目金額(1人あたり)
① クルーズ運賃(内側客室・2名1室)約50,000円
② ポートチャージ150ドル(約22,000円)
③ 船内チップ1泊18ドル × 4泊 = 72ドル(約11,000円)
④ 国際観光旅客税1,000円(当時の額。現在は3,000円)
合計約84,000円

2025年1月時点(金額はすべて当時の額)。円換算は当時のレート(約150円/ドル)。この乗船はクルーズイズム経由で客室の提供を受けています(PR)。金額は「この航路にかかる費用の内訳」であって、私が支払った額ではありません。

表示の5万円に、3.4万円が乗りました。注意してほしいのは、この3.4万円の額は、どのサイトで買っても変わらないということです(料金に最初から含めて表示しているサイトでは、表示価格のほうが高く見えます)。なお、国際観光旅客税は2026年7月1日から1人あたり3,000円に引き上げられています(観光庁)。この例で今乗ると、④は3,000円になります。

さらに、船の中で使うお金

ここまでが「乗るまでに決まるお金」。ここからは「乗ってから使うお金」です。同じ航路で実際にかかった金額を挙げます(すべて2025年1月時点)。

何にいくら
Wi-Fi(2台分)86ドル(約13,000円)
ドリンクパッケージ(基本のもの)1人1日 59ドル
有料レストラン(食べ放題)25ドル
有料ショー18ドル
ボウリング30分 30ドル
ルームサービスの朝食(配送料)4ドル ※何個頼んでも一律
ダイニングの水(1.5L)5ドル
カフェラテ4.5ドル

ドリンクパッケージは要る? 損益分岐は「1日7杯」

基本のパッケージで1人1日59ドル(泊数分まとめて課金)。船内のドリンクは1杯10ドル前後、ビールが7ドル前後なので、1日7杯以上お酒を飲むなら、パッケージのほうが安く、それ未満なら、都度払いのほうが安くなります。ちなみに実際に払ったドリンク代は、1日10〜15ドル程度でした。飲まない人には要りません。

逆に、お金がかからないもの

意外と知られていませんが、こちらは運賃に含まれています。

「食事が全部込み」はクルーズの強みです。ホテル+レストランと比べるときは、ここを差し引いて考えてください。

チップ(サービス料)は船会社ごとに違います

実際に確認できた金額を挙げます。

船会社船内チップ支払い方
MSCクルーズ1泊18ドル(2025年1月・那覇発着で実際に請求された額)自動で船内会計へ
セレブリティクルーズ1人1日18ドル前後(2024年8月・横浜発着)すべて部屋付け。現金のドルを用意する必要なし

ここに「船会社別の一覧表」を載せていないのは、意図的です。チップの額は船会社・客室クラス・エリアで変わり、改定もあります。各社の公表値を一次確認できたものから、順次それぞれの船のページに載せていきます。確かめていない数字を表にして並べるのは簡単ですが、それでは、この記事自体が「あとから乗ってくる料金」になってしまうからです。なお、日本の船会社には船内チップが不要(運賃に含まれる)のところがあります。これも船ごとに確認して、該当する船のページに明記していきます。

「1泊あたり」に直すと、比べやすくなります

総額は泊数で大きく変わるので、比べるときは運賃を泊数で割った「1泊あたり」に直すと分かりやすくなります。同じ「クルーズ」でも、船によって1泊あたりの運賃には何倍もの開きがあります。「クルーズは高い」も「クルーズは安い」も、どちらも正しくありません。どの船かで、まったく別の商品です。

自分の場合を確かめる3つのステップ

  1. 船のページで運賃を見る:販売サイトごとに運賃が並びます。比べる意味があるのは、ここです。
  2. 「この料金に含まれないもの」を見る:諸税(政府関連諸税・港湾使用料)とチップが含まれているかを確認します。
  3. 販売サイトの最終確認画面で確定額を見る:最終的な金額は必ず販売サイトでご確認ください。

この記事のデータについて

よくある質問

チップは断れますか?

船会社によります。多くの外国船では自動的に船内会計へ加算される仕組みで、断るには手続きが必要です。「払わない前提」で予算を組まないほうが安全です。

現金のドルは用意すべき?

船内チップは部屋付け(船内会計への加算)が主流で、現金は必須ではありません。ただし、良いサービスをしてくれた乗務員へ個別に渡している乗客もいます。少額を用意しておくと選択肢が増えます。

子どもの料金は?

船会社によって大きく違い、18歳未満のクルーズ代が無料になる航路もあります。家族で乗るなら、ここが総額に一番効きます。

総額を抑えるにはどうすれば?

諸税・チップ・国際観光旅客税の額は港・国・船会社が決めるもので、どこで買っても変わりません(料金に含めて表示するかどうかは販売サイトで違います)。比べる意味があるのはクルーズ運賃です。販売サイトごとの運賃を、諸税・チップを含むかどうかをそろえて比べることと、船内で使うお金(ドリンク・Wi-Fi・有料レストラン)を決めておくことの2つです。